鯛工房

   前髪に目が隠れてるの正義。

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世界樹探索日誌 11

「両翼の斥候に気づけたのは……幸運でしたね」
「グリムくんのお手柄ね」
「あれと本体に挟撃されていたら、確かに終わっていただろうな」

 地下5階、再奥。そこは主である魔獣の巣だ。
 さらなる深層へと続く回廊、その真ん前に居座りやがったこいつらを殲滅する事が、あたしらが執政院から託された仕事。
 その決戦も、もう目の前だ。

「パイ、ドク。二人ともいける?」
「うーん……ばっちり万端、とは言えないかな。さすがに」
「こちらもだ。ここまで来るだけでも消耗するからな」
「次に回す、ってのは……意味がないですね」
「相手に体勢を整える時間を与えるだけだろう」
「……気づかれたぞ」

 グリムの低い警告に、緊張レベルが一気に上がる。生い茂る木々で周囲から切り取られたかのような暗がりにチラチラと揺れる、紅い眼。

「……頭を真っ先に潰すわ。ボスさえ抑えれば、あとはどれだけ頭数がいても雑魚」
「わかった」

 それぞれ剣と盾を構えるグリムと少年、出し惜しみはないとばかりに鞄の中身をブチ撒けるパイ。あたしも弓に矢をつがえ、敵の目をくらますため初手で一気に駆け抜ける、その動作に備えて軽くステップを踏む。そして毒の術式の準備に入るド……ク……?

「……どうしたの」
「いや、そういえば誰も聞かなかったので私も言う機会がなかったのだが」
「だから何よ、この土壇場へきて」
「うむ、”スノー”ドリフトと云うからには、当然元は寒冷地に暮らす魔獣だったのだろうな?」

 ……話が見えない。

「ごめん、要点を3行でまとめて、簡潔に」
「私の冷気の術式はおそらく通用しないと思うのだが、毒を仕込むだけでいいのだろうか」


 ――そういえば


 こいつ


 雷どころか


 火の術式なんて


 身に着けて――



「ぎゃあああああああ戦術ミス――――――――――――ッ!!!?」
「やはりまずかったか」
「まずいですよいやまずいなんてもんじゃないですよ!?」
「なんで誰も気づかなかったー! ばかばかち
(キンキンキンキンこどものこー)!」
「どっどのみちこうなったら逃げ道もないわよ! というか今の奇声であっちもちょっと怯んでる怯んでる! っゴー!!」
「……畳み掛ける」
「ち、チクショウ、タマとったらぁあああああ――!!」



 *  *  *  *  *


 ……さて、結論から申し上げると。
 あたしらは、見事魔獣を討ち果たしたのでした。

 体力も気力も根こそぎ果てて死屍累々だったけどな。
 最後はドクやパイまで持ってた杖で殴りかかってたけどな。泣きながら。



 ――それでも、あたしやドク、パイの3人が最後まで立ってられたのはグリムと少年が守りきってくれたおかげなんだ。
 うん。
 ……ありがと、二人とも。

 今後1週間くらい、食事当番免除でもバチは当たらないよな。
  1. 2007/03/09(金) 14:13:54|
  2. 世界樹探索日誌
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