鯛工房

   前髪に目が隠れてるの正義。

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世界樹探索日誌 14

「ドク、なにその帳面」
「これかね? 樹海生物の生態をメモしたものだが」
「――ああ、少年が言ってたあれか。ちょっと見せてー」
「構わんよ」

○猛獣 シベリアンナイトメア / 生息・ヒガシシベリア / フレッシュバターが採れる
 得意技 タイガーザッパー・ジェットシン・ひっかき・丸かじり


「……なにこれ」
「スノードリフトの事だ。私が使いやすい書き方をしているので、少々判りづらいかもしれないな」
「少……々?」

○珍獣 斉天大聖 / 生息・ニホン / エロ本を持っている
 得意技 グルーミング・ねる


「……こっちは?」
「第2層で見られる大ナマケモノだ」
「…………」

 混乱寸前の頭でページをめくる。

○野鳥 マドモワゼルフロムヘル / 生息・アフリカ / 樹のバットを落とす
 得意技 羽ばたき・ついばみ・ねる・全体行動
 ※注意・ガンによわい


「……………………」
「第2層の要注意生物、ジャイアントモアだ」
「つーか何よこれ。他人が読んだらサッパリわかんないじゃない」
「最初に言ったはずだが。まあ樹海内で発見されたという古代の書物を参考にしたので、知らない人に通じないのは仕方ないかもしれん」
「古代の書物って、そんなのあったんだ」
「タマ・ズーという、古代に存在した魔獣研究機関について記されたものらしい」
「古代人のセンスって全然わかんない……その上でそれはあたしのエールですパイさん」
「しょじきん700ぺりかしかないヒトはだまっててー」

 こいつはこいつでデキ上がってるしもう何が何やら。
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  1. 2007/03/18(日) 10:41:31|
  2. 世界樹探索日誌
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世界樹探索日誌 13

 かつてこのエトリアにいた大富豪。
 花を愛し、花を育て、花と共に生きていたというその男が唯一咲かせる事の出来なかった花があった。
 あたしたちに託されたのは、その花の種。
 その種を植えるにふさわしい場所を、樹海の中に見つける事が今回の依頼だった。

 その場所は、地下6階にあった。
 その深さでなお、樹海の隙間から陽光のさす一角、あたしたちはそこに種を植える。
 それは樹海の持つ何かの力なのだろうか、植えた種はあっというまに成長し、あたしたちの目の前で一輪の花を咲かせた。大きく、しかし派手でもなく、学のないあたしでも素直に美しいと思える花だった。
 もうこの世にはいないけど、その大富豪もきっとこの花を見ていると信じたい。

 *  *  *  *  *

 ぱたん。

「……と、いうことにしといてやるわ」

 あたしは包帯だらけの手で日記を閉じる。

「『死んだ奴を悪く言うな』てウチの家訓がなかったらね……もう怒りに任せて書いてたと思うけど、まあ綺麗だったのはホントだし」

 ――さて、今頃施薬院で、蜂毒の後遺症にうんうん唸ってるはずのグリムの見舞いに行ってやらんとなァ。厨房借りてなんか消化のいいモン作るか。
  1. 2007/03/17(土) 17:18:59|
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世界樹探索日誌 12

「これは……予想外だな」

 ドクの呟きだけじゃない。あたしら皆、ため息や感嘆の声を上げる。
 回廊を抜けた先は、まるで別世界だった。
 森、というには森なんだろう。だがあたしらの国で慣れ親しんだものとはまるで違う。シダや葉の厚い樹が何重にも覆い被さっていて、薄暗い、というか闇が深い。
 ドクに言わせると「もっとずっと南の国で見られる森」だそうな。

「しかし……同じ場所でこれだけの生態の違いが見られるというのは、他に例がないだろうな」

 ……ごめん、学のないあたしにゃ何言ってるのかさっぱりだ。

「さ、いつまでも感心してたってしょうがない。進もうぜ」
「駄目ですよアウルさん、これだけ今までと違う領域です。慎重にいかないと」
「なーに言ってんの。あの雪の魔獣を倒したあたしらだぜ? しばらく怖いものなんかないって、平気平気」

 *  *  *  *  *

「おや、ずいぶんお早いおかえりですね?」
「ごめん、みんなホントごめん。反省しました気をつけますもうちょうしにのったりしませんやだ粘液ねんえきがどく吐いて巨大な、きょだいな」
「あ、少々お待ちくださいませ。今施薬院に連絡を入れます。タンカと人手を手配してもらいますので」
  1. 2007/03/10(土) 06:01:15|
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世界樹探索日誌 11

「両翼の斥候に気づけたのは……幸運でしたね」
「グリムくんのお手柄ね」
「あれと本体に挟撃されていたら、確かに終わっていただろうな」

 地下5階、再奥。そこは主である魔獣の巣だ。
 さらなる深層へと続く回廊、その真ん前に居座りやがったこいつらを殲滅する事が、あたしらが執政院から託された仕事。
 その決戦も、もう目の前だ。

「パイ、ドク。二人ともいける?」
「うーん……ばっちり万端、とは言えないかな。さすがに」
「こちらもだ。ここまで来るだけでも消耗するからな」
「次に回す、ってのは……意味がないですね」
「相手に体勢を整える時間を与えるだけだろう」
「……気づかれたぞ」

 グリムの低い警告に、緊張レベルが一気に上がる。生い茂る木々で周囲から切り取られたかのような暗がりにチラチラと揺れる、紅い眼。

「……頭を真っ先に潰すわ。ボスさえ抑えれば、あとはどれだけ頭数がいても雑魚」
「わかった」

 それぞれ剣と盾を構えるグリムと少年、出し惜しみはないとばかりに鞄の中身をブチ撒けるパイ。あたしも弓に矢をつがえ、敵の目をくらますため初手で一気に駆け抜ける、その動作に備えて軽くステップを踏む。そして毒の術式の準備に入るド……ク……?

「……どうしたの」
「いや、そういえば誰も聞かなかったので私も言う機会がなかったのだが」
「だから何よ、この土壇場へきて」
「うむ、”スノー”ドリフトと云うからには、当然元は寒冷地に暮らす魔獣だったのだろうな?」

 ……話が見えない。

「ごめん、要点を3行でまとめて、簡潔に」
「私の冷気の術式はおそらく通用しないと思うのだが、毒を仕込むだけでいいのだろうか」


 ――そういえば


 こいつ


 雷どころか


 火の術式なんて


 身に着けて――



「ぎゃあああああああ戦術ミス――――――――――――ッ!!!?」
「やはりまずかったか」
「まずいですよいやまずいなんてもんじゃないですよ!?」
「なんで誰も気づかなかったー! ばかばかち
(キンキンキンキンこどものこー)!」
「どっどのみちこうなったら逃げ道もないわよ! というか今の奇声であっちもちょっと怯んでる怯んでる! っゴー!!」
「……畳み掛ける」
「ち、チクショウ、タマとったらぁあああああ――!!」



 *  *  *  *  *


 ……さて、結論から申し上げると。
 あたしらは、見事魔獣を討ち果たしたのでした。

 体力も気力も根こそぎ果てて死屍累々だったけどな。
 最後はドクやパイまで持ってた杖で殴りかかってたけどな。泣きながら。



 ――それでも、あたしやドク、パイの3人が最後まで立ってられたのはグリムと少年が守りきってくれたおかげなんだ。
 うん。
 ……ありがと、二人とも。

 今後1週間くらい、食事当番免除でもバチは当たらないよな。
  1. 2007/03/09(金) 14:13:54|
  2. 世界樹探索日誌
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世界樹探索日誌 10

「ふむ、B4Fのフォレストウルフを排除か。ご苦労だった」
「……まァ、本命のスノードリフトはまだまだなんだけどね。明日からはB5Fに降りるよ」
「了解した、その調子で頼む」

 街の執政院に今日の報告。
 メンドいけど仕事を請けている以上、こういう義務はしょーがない。
 微妙に納得いかないのは、その報告役があたしに回ってきたことなんだけど……チームの中じゃどういうわけか満場一致なんだよな。なんでだ。
 んで担当官のこのメガネ、最初はやたら偉そうな口調にカチンときたりもしたけれど、パイ曰く『そう? あれでずいぶん気を利かせてくれてるとおもうけど』らしい。思い返せば手続きやら何やらやたらスムーズに進むし、やっぱそうなんだろうか。そう考えるとこの話し方も親しげに聞こえてくるからあたしも単純なもんだ。

「倒れてしまっては元も子もないからな、充分に気をつけることだ」
「あいよー。んじゃあまた明日」
「……おや、仲間と一緒に帰るのではなかったのかね」
「へ?」

 *  *  *  *  *

 メガネに言われて書庫に来たあたしの見たものは――

「……少年……何してんのこんなトコで」
「ひわ!? アウルさん!? え、えとこれはその」

 机に突っ伏して寝てるドクと、その横で所在無げに突っ立ってるバインくんだった。
 ドクの手元には、開いたままの……ありゃ樹海生物のファイルじゃん。

「こんなもん読んでたのか。ってここんとこ帰った後にふらっと出かけてたのって、ひょっとしてこれ?」
「はい。……1階の花畑で毒蛾に襲われたことありましたよね? あれから毎日通ってるそうです」
「マジか」
「特性とか注意事項とか金になる部分とか。そういうのを調べるのは絶対に必要だし、やるのならそれは後衛の自分の役目だって」

 ……知らなかった。いや、確かに言われてみればここ数日、少しずつ効率上がってるような感じはあったんだけど。

「僕もそれ、気になってたんで調べに来て。それでドクさんが通ってるの知ったんです。手伝うって言ったんですけど」
「断られたか。そういうとこガンコだもんねェこいつ」
「はは……」

 その割にはまんざらでもなさそうだ。この子もある意味責任感強いし、言い出したことは引かないトコがある。食い下がって多少譲らさせたかもしんない。
 思わず言い合ってる場面を想像しちゃったけど……いや、仲いいことはいいんじゃね? やっかみはとりあえず置いといて。

「んじゃあ、あたしは先に帰るから。コイツは責任持って持ち帰るように」
「荷物じゃないんですから」
「起こすのも起こさないのもキミの自由だ」
「起こしますよ」
「……手ェ出してもアリよ?」
「出しませんよもう!? からかうのも大概にしてください!」

 うーん、もしくっつくとしたら意外とお似合いなんじゃないかと思うなァ。
  1. 2007/03/01(木) 13:35:34|
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